koji/メガネ男の日誌

日々の学び、活動状況を記録します。仕事のことは少なめ。

「あの夏、サバ缶はなぜ売れたのか」をあらためて読む

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数年前、データに基づいたマーケティングを学ぼうとしていたころ購入した本を読み返し、改めてまとめてみました。

あの夏、サバ缶はなぜ売れたのか?仮説を行動、成果につなげるビジネスビッグデータ分析

著者は博報堂の大木真吾さんです。

seikatsusha-ddm.com

 なお、細かい分析技術については触れられておらず、主要な流れとその結果こんなことが分かった、こういう施策に結び付けた、という内容が中心となっております。

 

主な本の構成
  • JALが海外女子旅好きをデータから導き出したケース
  • 取得可能な外部データ(注:2014年ごろ)
  • あの夏なぜサバ缶が売れたのか
  • 分析プロセスの実際
  • 購買行動に結び付けるには
JALが海外女子旅好きをデータから導き出したケース
  •  最初はディスカッションで思いつく限りの購買シーンをピックアップした
  •  購買シーンをグルーピングし、①データはとれるか/②顧客は多いか/③施策は実行可能か/④売上につながるか、という観点で評価
  •  海外女子旅は1万人抽出できた
  •  ペルソナ分析を実施した。
  • その顧客が海外女子旅好きに該当する確率を、20を超えるデータをもとに回帰分析で算定。
  • ウェブサイトでの動きを追ったところ、海外女子旅好きの売上高は10倍であることが分かった。

 

取得可能な外部データ(注:2014年ごろ)
  • ソーシャルデータ(Twitter、ブログ)
    商品名や使用感など、自社商品に関するつぶやきの量や質的な内容を把握することができる
  • 各種協会等が公表している統計データ
  • 家計簿データ
    書籍中に紹介されているRECERECOはサービス終了しているようですが、大日本印刷の家計簿アプリ「レシーピ!」というものがありました。

    receipi.jp
    終了済みですが、レシーピ!のデータを活用するアイデアを募集していたようです。

www.dnp.co.jp

  • テレビ番組情報データ。24時間365日、テレビを見続けて情報をまとめているそうです。

    mdata.tv

  • レストラン注文データ。セイコーソリューションズ・博報堂プロダクツが提供。
    →検索しても見つからず。
     その代わりぐるなびのデータライブラリを発見。

pr.gnavi.co.jp

 

(参考)書籍には記載があったが、検索しても見つからなかったもの

  • 店内観察データ。博報堂が提供。検索しても見つからず。
    ただ、積極的に記載がないだけで、博報堂はシンクタンクを擁していますので、実際は提供しているのかもしれません。

www.hakuhodo.co.jp

 また、博報堂が公開している調査データもあります。

www.hakuhodo.co.jp

 

あの夏なぜサバ缶が売れたのか

 書籍のタイトルにもなっている。

  • 2013年7月、テレビ番組で紹介されたのを皮切りに、サバ缶が爆発的に売れた。
  • ブログとTwitterを分析した結果、
  • POSデータを分析すると

 その他、雪と雪見大福、キムラ君(キムチとラー油)の事例も触れられている。

 

分析プロセスの実際
  •  大きく流れは、①仮説構築、②分析手法の活用、③分析結果の解釈のプロセス
  •  事例
     シュークリーム好きな男子がいると仮説を立てる
     性・年齢別の購買回数の把握が必要なので、データを整備する。
     書籍では終了済みのサービス、レシレコ、ソーシャルデータ、テレビ番組情報データを使用している。
     クロス集計を実施し、特徴を感じられる「差」を見出す。
     結果、男性の売上は低いものの、特に40代男性の購買回数が多いことがわかり、ターゲットをここに絞った。
     また、Twitterを分析したところ、セブン限定のガリガリ君のシュークリーム味の当たりを引くと、本物のシュークリームがもらえる企画の期間中に、つぶやき量が増加していることが分かった。
     期間中にテレビで取り上げられたことも寄与していると考えられる。

 

購買行動に結び付けるには
  • スーパーの事例
  • POSデータを分析したところ、立地が購買に大きく影響することが分かった。
    総菜の売上構成比が高い店舗 オフィス街で昼間のランチ需要が多い
    果物の売上構成比が低い店舗 周辺は果物農家が点在
    アイスが一番売れる店舗 裏手が小学校でコンビニが周辺にない
    1回の平均購入点数は少ないが平均の来店回数は一番多い店舗 駐車場が少なく多くが徒歩で来店
  • とった施策
    ① 品ぞろえの最適化
     売上構成比の非常に高い商品群のスペースを拡充し、あまり売れていない商品群のスペース縮小した。
     これにより、拡充した商品の売り上げが上がったのはもちろんだが、これらの商品を過去2年内において初めて買う顧客が増加した。
     初めて購入した顧客は、すでに何度も買っている顧客と属性が同じだった。
     すなわち、スペースを広げると、潜在的ニーズも引き出せると考えられる。
    ② 店内の回遊性の向上と顧客単価のアップ
     二階建の店舗において、1階で何を買うと2階ににあがるのかを分析したところ、一例としては1階でパンを買うとジャムを買うために2階に上がることが分かった。
     こういった吸引力のある商品を活用し、POPで2階にあることをアピールしたことで、合わせて購入する率が最大1.5倍になっただけでなく、ついで買いを誘発して客単価が通常の1.7倍になった。

 

所感

 上記のようなデータでわかる情報は、知ってしまえば当たり前じゃないかと思うような内容です。
 しかし、感覚的な「たぶんこうじゃないか」で資金・労力・時間の投資を行えるかと言えばそうはいかないと思います。
 「たぶんこうじゃないか」をデータで証明することで、初めて正しい投資に踏み切れるかと思いますので、データの重要性を改めて感じました。

 

以上になります、最後までお読みいただきありがとうございました。